いま、多くの投資家や市民から注目を集めている、築地市場跡地の再開発計画。東京ドームおよそ4個分にも及ぶ都心の一等地が、今後、新しい都市機能を備えた複合エリアとして生まれ変わる予定です。8月22日、築地市場跡地を対象とした「築地地区まちづくり事業 基本計画」が発表されました。今後、築地まちづくり株式会社(三井不動産を代表とし、トヨタ不動産・読売新聞グループなどが参画し特定目的会社として設立)が主体となり、大規模再開発を進めていきます。築地まちづくり公式ウェブサイト:https://tsukiji-machizukuri.jp/ 本稿では、最新情報をもとに築地市場跡地の今後の計画について詳しく解説します。 <目次> 1. 築地という土地の特性と再開発の意義築地市場跡地は、銀座・汐留・日本橋・東京駅から至近という極めて稀少な立地にあります。水辺や歴史的資産に囲まれ、都心にありながら開放感と広がりを持つ空間であり、世界都市・東京の魅力を一層高める潜在力を備えています。今回発表された基本計画は、東京都・有識者・事業者が参加する「マネジメント会議」の議論を踏まえて策定されたものであり、行政と民間、そして地権者が一体となって未来像を描く点がこの巨大プロジェクトの特徴のひとつです。今後、十数年にわたり総事業費およそ9,000億円をかけての大規模再開発が進み、2030年代前半以降の開業を予定されています。 以下の写真は、築地大橋・勝鬨橋から見た築地市場跡地の様子(2025年5月撮影)。仮囲いが施されていて内部に立ち入ることはできませんが、敷地を眺めてみると、その広さに改めて驚かされます。 2. コンセプト「ONE PARK × ONE TOWN」の深層このプロジェクトの核となる理念は「ONE PARK × ONE TOWN」です。三井不動産がリードして掲げる都市像であり、単なる再開発にとどまらず、国際都市・東京の競争力を再定義する狙いが込められています。 ONE PARK:隅田川や浜離宮庭園に隣接する特性を活かし、緑地や広場を大胆に配置。都市に自然を取り込み、水と緑に包まれた「都心のオアシス」を形成します。 ONE TOWN:周辺エリアと結節し、学び・交流・文化発信・イノベーションを生み出す拠点を整備。銀座・汐留・勝どきなどと連携し、都市の多層性を高めていきます。 さらに空間デザインのモチーフとして「扇」が採用されています。これはかつて築地市場に存在した「扇形の鉄道引込線」に由来し、歴史を継承しつつ「繁栄と開放性」の象徴として未来を指し示すとのこと。 加えて、次世代モビリティ戦略も計画に組み込まれています。空飛ぶクルマや水上交通などを活用したアクセス網を視野に入れ、都心のモビリティ革新を牽引する拠点となる構想です。これにより築地は「歩いて楽しい街」であると同時に「次世代交通の実験場」としての顔も持つことになります。 都市生活の利便性と自然・文化の豊かさを両立させる設計思想は、今後の都心再開発を象徴するモデルケースとしても注目されています。 3. プロジェクト概要、今後のスケジュール■構成企業事業会社※三井不動産株式会社(代表企業) ※開発・運営責任を負う建設鹿島建設株式会社、清水建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社竹中工務店設計株式会社日建設計、パシフィックコンサルタンツ株式会社協力株式会社朝日新聞社、トヨタ自動車株式会社 ■これまでの経緯2019年3月東京都が「築地まちづくり方針」を策定2022年11月東京都が「築地地区まちづくり事業 事業者募集要項」を公表2024年4月東京都が事業予定者を選定2024年12月事業予定者が築地まちづくり株式会社(特別目的会社)を設立2025年3月東京都と築地まちづくり株式会社、構成企業が基本協定書を締結2025年8月築地まちづくり株式会社が「築地地区まちづくり事業 基本計画」を策定 ■計画概要所在地東京都中央区築地五丁目および築地六丁目各地内活用都有地面積約19万㎡総延床面積約126万㎡総事業費約9,000億円開業時期2030年代前半以降主要建物大規模集客・交流施設(マルチスタジアム)、ライフサイエンス・商業複合棟、MICE・ホテル・レジデンス棟、舟運・シアターホール複合棟など合計9棟事業HP築地まちづくり公式ウェブサイト https://tsukiji-machizukuri.jp/基本計画築地地区まちづくり事業 基本計画 ■配棟計画主要用途/機能延床面積最高高さ①大規模集客・交流施設スタジアム、店舗等約17.9万㎡約40~110m②ライフサイエンス・商業複合棟ラポ&オフィス、インキュベーション施設、店舗等約40万㎡約190m③MICE・ホテル・レジデンス棟ホテル、MICE施設、住宅、店舗等約14.6万㎡約210m④・⑤ホテル棟ホテル、店舗等約5.7万㎡約150m⑥レジデンス棟住宅、店舗等約9.0万㎡約180m⑦オフィス・レジデンス棟オフィス、住宅、店舗等約12.6万㎡約190m⑧舟運・シアターホール複合棟ホール、店舗(フードホール等)、フードラポ等約3.2万㎡約50m⑨オフィス棟オフィス、店舗等約23.1万㎡約210mA・B・C水辺やまちに面する広場や緑地空間等ー ■位置図※本稿のCGイメージ・図面は、2025年8月22日三井不動産プレスリリースより引用※これらの情報は現時点の計画に基づいて記載されており、今後の詳細検討、行政協議等により予告なく変更される可能性があります 4.三井不動産のこれまでの実績と位置づけ三井不動産は都心における都市開発で着実な実績を積み上げてきています。たとえば、2025年3月に竣工した「三田ガーデンヒルズ」。港区最大級の敷地を用いた最高級分譲マンションで、建築設計から環境配慮型の設備、長期運用を見据えた管理手法に至るまで、三井不動産ならではの総合力が発揮されており、その品質は高い評価を得ています。こうした実績があるからこそ、築地市場跡地という都心最大級の都市開発を三井不動産がリードすることに、市場からも強い期待が寄せられているようです。今後の動きも見逃せません。 5. 不動産企業視点でみる築地再開発の意義築地再開発の最大の魅力は、これだけの広大な敷地を都心の一等地で一体的に開発できる希少性にあります。また、隅田川や浜離宮恩賜庭園、東京湾を望む眺望は唯一無二で、レジデンスからの眺望と環境価値という点にも注目です。さらに、今後想定される将来計画として、地下鉄新駅構想、既存の銀座線・大江戸線との接続、さらには羽田空港・東京駅・銀座へのアクセス強化により、人・モノ・情報の流通において圧倒的な利便性が期待されます。(出典:東京都「<都心部・臨海地域地下鉄構想 事業計画検討会> 事業計画案」) 6. 参考:湾岸住宅市場の動向近年、湾岸エリアでは「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」「晴海フラッグ スカイデュオ」「パークタワー勝どき ミッド/サウス」のような大規模タワーマンションが注目を集めています。こうした開発が相次ぐ背景には、東京の都心部における住宅ニーズの高さと、希少性が担保された物件に対する確かな評価があると言えるでしょう。築地のように都市機能を大規模に再設計するプロジェクトが進む一方で、住宅単体の開発も活況です。 7. おわりに弊社では、ハワイをはじめ国内外のさまざまな不動産の売買仲介を行っており、いまもっとも注目を集めるレジデンスのひとつ「三田ガーデンヒルズ」についてもお取り扱いがございます。現在、弊社にて三田ガーデンヒルズ パークマンション棟(2LDK/87平米)ならびに、ウエスト棟(3LDK/86平米)等の未公開物件をお預かりしておりますので、ご購入をご検討中のお客様はぜひお気軽にお問い合わせください。また、三田ガーデンヒルズのご売却をご検討中のオーナー様には、【最短1営業日】でご売却査定をお出ししております。お問い合わせはこちら: https://mgh.sevensignatures.com/#contact 今後も、三田ガーデンヒルズや国内の不動産関連情報を随時更新してまいります。