品川駅の“表玄関”として、多くの人が行き交う高輪口(西口)。その風景が、今まさに大きな転機を迎えています。旧シナガワグース跡地や駅前広場一帯では、オフィスや商業施設などを備えた新たな街づくりが進行中です。周辺の歴史あるホテルも含め、エリア全体を巻き込んだ再編が加速しています。今回は、高輪口周辺の再開発内容と現在の様子についてまとめます。 ■ 品川駅周辺におけるまちづくりについて現在品川駅では、大きく分けて3つの地区で開発が進んでいます。・品川駅北周辺地区・品川駅街区地区・品川駅西口地区(出典:港区公式HP「品川駅周辺のまちづくりについて」) 名古屋・京都・新大阪へとつながる東海道新幹線をはじめ、羽田空港へのアクセスもよく、世界につながる玄関口としての機能を持った品川駅。今後は国内の都市を結ぶリニア中央新幹線の始発駅も設置され、さらに “利便性の高い広域交通結節点” となることでしょう。 ■ 注目を集める再開発エリアのひとつ「品川駅西口地区計画」先日、品川駅周辺を視察してきました。高輪口を出て横断歩道を渡ると、工事中のWing TAKANAWAが見えてきます。 「Wing TAKANAWA」を左手に見るようにして歩道橋を上ると、右前方に大規模な工事現場が広がっている様子がわかります。以前ここにあった「シナガワグース」の建物は解体され、現在は重機やクレーンが並んでいます。ここが、「品川駅西口地区計画」の対象エリアとなっています。 このエリアは、A地区からD地区までの4つに分かれており、それぞれに異なる再開発が計画されています。(出典:港区公式HP「品川駅西口地区の街づくりについて」) 【A区画】この区画については、京浜急行電鉄が当該地区内の土地の一部をトヨタ自動車へ譲渡。まちづくり推進のために両社が共同で計画建物を建設・運営することが決まっています。現在再開発が進んでおり、2026年度竣工予定、2029年度にトヨタの「新東京本社」を開業する予定です。(出典:2020年4月6日 京浜急行電鉄株式会社ニュースリリース) 【C地区】C-1地区、C-2地区に分類されます。C-1地区には事務所・商業施設、住宅、MICE(国際会議や展示会などの産業支援施設)が、C-2地区には集会場が設置される見込みです。(出典:港区公式HP「品川駅西口地区の街づくりについて」) 【B地区およびD地区】2025年6月現在、B地区とD地区における再開発計画の具体的な情報は発表されていません。 さて、話を戻します。先ほどの写真を撮影した歩道橋、以前は品川駅高輪口のロータリーとも接続していたのですが、現在は白いドアによって閉鎖されており、以前のような通行はできなくなっていました。現在はWingと旧シナガワグースのあったあたりをつなぐように、南北方向のみ行き来できる状態です。 (この歩道橋は、品川駅方向には下記のようなドアが設けられており、現在は通行できなくなっています。) ■ さらなる利便性向上が期待される「品川駅街区地区」上記の写真から視線を少し右に移すと、駅前の様子もよくわかります。ロータリーのあった箇所も白いフェンスに覆われ、黄色の重機が稼働していました。このあたりが「品川駅街区地区」です。 工事している様子が確認できたのは上記写真の周辺のみですが、こちらの再開発の全体像は下記地図のピンク色の箇所(国道15号線に沿った区画)で、南北に広がっています。JR品川駅のひとつ北にある高輪ゲートウェイ駅との接続もよくなる見通しです。今後このふた駅の開発が進むことで、さらなる価値向上が期待されています。(出典:港区公式HP「品川駅西口地区の街づくりについて」) 「品川駅街区地区」の完成イメージはこんな感じ。それぞれ「北街区」「南街区 a(南-a)」「南街区 b(南-b)」と仮称され、新たに3棟の複合ビルが建設される予定です。(出典:2023年8月29日 京浜急行電鉄株式会社・東日本旅客鉄道株式会社ニュースリリース) 高輪口のバスターミナル周辺では、歩道や道路の再整備も同時に進んでおり、車両と人の動線が工事進捗に合わせて下記のように切り替わっています。 忙しく行き交う人々は、周辺のホテル利用客や出張のビジネスパーソン、近隣の住民。途切れることなく人の流れがあり、活気が感じられます。 次回【後編】では、リニア中央新幹線や品川駅周辺のタワーマンション開発の最新動向に迫ります。進化を続ける品川駅の“未来地図”を、どうぞお見逃しなく。